ピアスにスタッドピアスやアメリカンピアス、フープピアスなど種類によって名称が変わるように、ネックレスやペンダントも実はパーツによって名称が決まっていたりそれぞれ違っていたりします。
例えばあずきチェーンやベネチアンチェーンなど、チェーン一つとってもデザインによって名称が変わってきます。チェーンの名称については【実はこんなに種類がある!ネックレスチェーンの種類や長さ、特徴を解説】でも紹介しているのでご参照ください。
そんなネックレスやペンダントですが、チェーンを通す金具に「バチカン(バチ環)」という名称があることはご存じでしょうか。
本記事ではそのバチカン金具について解説していきたいと思います。
目次
そもそもバチカンって何のこと
バチカンと聞いたら、何をイメージされますか?おそらくキリスト教の総本山であるバチカン市国を思い浮かべましたよね。しかしネックレスにおけるバチカンはあのバチカンではなく、ネックレスのトップ(チャーム部分)にチェーンを通すパーツのことをいいます。
そもそもなぜバチカンかというと、三味線のバチ(撥)のカタチに似ていて、しかも環状のカタチをしていたことから「撥環(バチカン)」と呼ばれるようになりました。そのため「バチカン」というのは日本だけで、英語圏では”Bail(ベイル)”といいます。
[まとめ]
- バチカンとはペンダントチャームにチェーンを通す金具のこと
- バチカンの名称は三味線のバチに似た形状をしていたことに由来する
バチカンの役割とは
そもそも、なぜネックレスにバチカンを使うのかというと、3つの理由があります。
- ダイヤモンドやサファイアなどの、ペンダントトップ(チャーム)とチェーンをつなぐ役割のため
- ネックレスを装着したときに、ペンダントトップが正面を向くようにするため
- ネックレスのデザイン性を高めるため
もしバチカンがなかったらペンダントトップが横を向いて、見た目が非常に悪くなってしまいます。
しかも横を向いたペンダントトップが、動くたびに肌にあたり、チクチクしてとても使い心地が悪くなってしまいますよね。
さり気ないパーツではありますが、実は役割が大きいのがバチカンなのです。
バチカンの種類
チェーンとペンダントトップをつなげる、一見地味な印象のバチカンですが、大きく分けて3種類あります。縁の下の力持ちのような役割をもつバチカンですが、デザインや機能を大きく左右する大事なパーツです。
それぞれの違いを見ていきましょう。
一般的なバチカン
逆三角形型の金具が一般的で、石座(ペンダントトップ)とチェーンを繋ぐ役割を果たします。
・甲丸バチカン
こちらもポピュラーなバチカンです。
すこしふっくらしたデザインなので甲丸(こうまる)バチカンともいいます。
下の写真のように、石座ではなく直接石に穴を開け、そこに丸輪を通しバチカンと取り付けるタイプもあります。
(宝石に直接穴を開けて、丸輪を通したタイプのネックレス)
石が細かく揺れるので、小粒でもキラキラと輝くので石がきれいに見えます。。
胸元でゆらゆら揺れることで、より上品な印象を与えてくれますが、デザインによってはバチカンがうるさくなってしまうこともあるので、ネックレスを選ぶときはバチカン部分のデザインもチェックしてみてください。
バチカンはネックレスとチェーンをつなぐ「機能性」のためのパーツですが、バチカン自体に、ダイヤモンドなどの宝石を留めたり、彫りを入れたり装飾を加えて、ラグジュアリーな印象を与えるデザインのものもあります。
内蔵型バチカン
ネックレストップの後ろ側に、チェーンを通すための輪が付けられた「内蔵型バチカン」と呼ばれるタイプのものもあります。
このタイプのネックレスを装着した場合、バチカン自体がトップと一体化したように見えるので、デザイン性が高くすっきりとした印象になります。
またネックレストップの揺れが少なく、ひっくり返りにくいのも特徴です。
一体型バチカン
こちらのタイプは、バチカンの無い(完全に一体化)したタイプのネックレスです。
有名なものだと、ティファニー社のデザイナー、エレサ・ペレッティー氏がデザインした「オープンハート」が一体化タイプの代表です。
こういった一体型タイプの場合モチーフそのものにチェーンを通すため、着脱がしやすいのが特徴です。
モチーフの内径が大きいデザインだと、ボリュームのあるチェーンを通すこともできるので、チェーンの組み合わせの幅が広がりアレンジが楽しめます。
開閉型バチカン
リングピアスのようにパカっと開く「開閉型バチカン」
工具がなくても指で開くので、手持ちのチャームに簡単に取り付けが可能です。
チャームをペンダントとして使いたいけど、穴が小さすぎてチェーンが通らないときに開閉型バチカンを使うと簡単にペンダントとして着用できる便利なアイテムです。
開閉型バチカンの内径が大きめなものだと、パールや2連ネックレスのように幅が太めのネックレスにもペンダントチャームを取り付けることが可能です。
印象がかわる!バチカンのいろいろ
バチカンは本来、チェーンとトップをつなぐためのパーツではありますが、今ではデザインの一部として多くのバリエーションが存在します。
シンプルなものから彫りを施したもの、石を埋め込んだものなど多岐にわたります。
そういった趣向のこったタイプを総称してデザインバチカンと呼びます。
ここではさまざまなデザインのバチカンを見ていきましょう。
・ベルキャップ
ベルキャップ(bell caps)というタイプの金具を使った南洋真珠のネックレス。
名前の通り、鐘のベルのような形の帽子をかぶったような見た目が特徴です。
・内蔵型バチカン
バチカン内蔵型のネックレス。2点でチェーンを支えるためトップが安定し、ひっくり返りにくくなっています。
また2点留めの内蔵型バチカンによっては、帯留めとしても使えるものもあるので和装のおしゃれも楽しめます。
・Aカン
ダイヤをあしらったゴージャスな印象のスターサファイアのネックレスです。
このバチカンは横から見たカタチが「アルファベットのA」にも見えるのでAカンともいいます。
こちらはバチカン内蔵型のネックレス。
一見すると1つのデザインに見えますが…
それぞれ独立しているので、パーツの組み合わせを変えて、シンプルなデザインからゴージャスなデザインと気分に合わせて使い分けられます。
(組み合わせ1)
(組み合わせ2)
一つのネックレスでも組み合わせを変えることでガラリと印象が変わるので、ファッションの幅が広がるアイテムです。
まとめ
何の気なしに身に着けていたネックレスのパーツである「バチカン」。
三味線のバチが名前の由来だなんて意外すぎて、ちょっと友達に話したくなる豆知識ですよね。
バチカンは小さなパーツではありますが、ネックレスの印象を左右する大事なパーツです。
ネックレスを選ぶときはバチカンにも注目してみてください。
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