絵画のようなモチーフで、身に着ける芸術ともいえるカメオ。そんなカメオの特徴などの基礎知識について紹介します。
目次
シェルカメオとは
カメオとは、素材を浮き彫りにする装飾技法のこと表します。歴史は古く、紀元前3世紀のギリシャ時代に装飾品やお守りとして使われていました。
カメオに使われる素材は大理石やサンゴ、メノウなどさまざまです。
なかでも貝殻をつかったカメオを「シェルカメオ」とよびます。
シェルカメオの生産地として有名なのがイタリアで、シェルカメオの90%以上が同国で生産されています。
シェルカメオの種類
貝殻をつかったシェルカメオですが、なかでも素材として代表するものが「サードニクス(サルドニクス)」と「コルネリアン」の2種類です。
ここでは、代表的な素材や、それ以外の素材について紹介します。
サードニクス貝(サルドニクス貝)とその特徴
チョコレートのようなブラウンをベースに、ホワイトの層が重なった巻貝です。
貝の起伏や曲面をあえて生かした彫刻など、個性的で表情豊かなカメオが楽しめます。
また硬い貝のため、繊細な彫刻に向いた素材でもあります。
硬いために工程数が増え、繊細な彫刻が必要で量産が難しいため、ほかのシェルカメオに比べて高価になります。
コルネリアンとその特徴
ブラウンや赤褐色をベースに、ホワイトやオレンジがかった層が重なった巻貝です。
柔らかく大きさも小さめなので、サードニクス貝よりも工程数が少なく量産しやすいため、シェルカメオではもっともポピュラーな素材になります。
その他の貝と特徴
・コンクシェル(ピンク貝)
希少価値の高い「コンク・パール」の母貝であるコンクシェルは、ピンクから淡いブラウンをベースに、ホワイトの層が重なった巻貝です。
優しいピンク色のグラデーションが美しく、天使やバラなどの花、女性像のモチーフが多いのが特徴です。
・マザーオブパール(白蝶貝)
白蝶真珠の母貝となるマザーオブパールは、真珠と同じ光沢をもった二枚貝です。
真珠のような艶やかで柔らかい白い色調が特徴です。
シェルカメオのお手入れ方法
カメオはこまめにお手入れをする必要はありませんが、1~2年に1度ほどでよいのでお手入れをすると長持ちします。
ここではカメオのお手入れ方法について紹介します。
カメオの軽い汚れの場合
水洗いでカメオをすすぎ、柔らかい布で優しく拭きます。また柔らかい消しゴムでやさしくこすることでも汚れ落としが可能です。
薄いカメオや、消しゴムを使うときに力を入れすぎてしまったりすると、割れてしまう可能性もあるので、ご注意ください。
カメオの汚れがひどい場合
ぬるま湯で10倍以上に薄めた中性洗剤で、素早く優しく汚れを洗います。その後、流水でしっかりとすすぎ、柔らかい布で優しく拭いてください。
注意点として、有機質が含まれるシェルカメオは、洗剤に含まれる化学物質により表面が溶解したり変色したりする可能性があるため、中性洗剤を使ったお手入れをする場合は、30秒以上漬け置き洗いしないようにしてください。
カメオと同じく有機質の真珠用洗浄液であれば、石に影響を与えにくい成分が配合されているため、より安全にお手入れが可能です。
カメオのセルフお手入れが不安な場合
それでもセルフクリーニングに不安がある場合は、ジュエリーショップやカメオ専門店などでクリーニングを行ってもらうと良いでしょう。
シェルカメオの手入れで特に気を付けること
カメオの主成分である「炭酸カルシウム」は酸に弱く、カメオの表面を溶解する原因になりかねません。
酢やオレンジなどの果汁がついた場合は、すぐに流水で洗ってください。
また乾燥に弱いからといって、オイルでお手入れすることもしないようにしましょう。参加したオイルによって、カメオが変質してしまう可能性があるため気をつけてください。
5:保管方法
シェルカメオの保管にはいくつか注意が必要です。
①防虫剤を使用している場所には絶対に置かない
防虫剤に含まれる化学成分に反応し、カメオが変質してしまうため、防虫剤の無い場所で保管する用にしてください。
②直射日光を避ける
直射日光にさらされると乾燥し、ひび割れの原因になります。また紫外線にも弱いため宝石箱など暗所で保管するようにしましょう。
③寒暖差を避ける
寒暖差のある場所で保管すると、ヘアラインとよばれる貝の層が表面に出てしまいます。見た目の美しさを損なってしまうため、なるべく寒暖差の少ない場所で保管するとよいでしょう。
保管方法のまとめ
- 防虫剤を避ける
- 直射日光を避ける
- 寒暖差を避ける
良いカメオの見分け方
細部の線が細やかで、滑らかに仕上がっているものを選ぶと良いです。またサードニクスシェルを使ったカメオの場合、色が濃い茶色のものを選ぶと良いでしょう。
また作家名で選ぶのもひとつの手です。
有名な作家であれば、腕が良いだけでなく、より品質や見た目の良い素材が手に入りやすいためです。
カメオのフレームの変色について
金(ゴールド)を使ったフレームの場合、本物の金を使っているにも関わらず、イタリア製のものの場合変色してしまう場合があります。
これは日本の気候とイタリアの気候が関係しています。
18金には通常「銅」が混ぜられていますが、この銅が酸化することで赤っぽく変色してしまいます。
湿度の高い日本では、酸化しにくいような成分を配合するなどの処理が行われていますが、乾燥した気候のイタリアでは、日本のような処理がそこまで必要でないため、日本製のものよりも変色しやすいのです。
まとめ
同じ貝でも1つ1つ個体差があり、貝の種類が変わるだけでも雰囲気ががらりと変わるシェルカメオは、格式高い上品な印象ながら、個性が楽しめるジュエリーです。
芸術性が高いからこそ、身に着けるだけでなく、飾って眺めて楽しんでみてはいかがでしょうか。
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